リビアングラス

リビアングラスの図鑑イラスト

(図鑑イラスト:博物画風・AI生成)

石の物語

ひとこと

2900万年前、空から来た何かが砂を溶かして作ったガラスなんだって🪐

石言葉

広く共有された石言葉は見当たらなかった。紹介されるときは「太陽」「生命力」「再生」という言葉で語られることが多い。

石のちから

  • 太陽・生命力:黄金色の見た目から、光や生きる力の石として語られている
  • 再生:一度終わったものから立ち上がる石として紹介される
  • 成功を支える:金運や仕事運、精神力を支える石という語られ方も多い
  • 繰り返しを断つ:同じところをぐるぐるしてしまうときの石として紹介される[古い伝承としての裏付けは確認できていない]

こんな人に

  • 気持ちが沈んで元気が出ない人 → 黄金色の太陽の石。生きる力の石として語られている
  • 大きなことに挑む人 → 成功や精神力を支える石として紹介される
  • やり直したい人 → 一度終わったところから立ち上がる、再生の石
  • 空や星が好きな人 → 2900万年前、空から来た出来事で生まれた砂漠のガラス。地球でここにしか無い

今、伝わっている意味

昔からの言い伝えは、この石には無い。近代に知られたのが1932年で、意味づけは20世紀の後半から今にかけて作られたもの。

ラピスラズリやムーンストーンのような、何千年も語り継がれてきた石言葉とは違うタイプの石なんだ。

いちばんよく語られるのが「太陽の石」。

光にかざすと明るい黄金色で、そこから太陽の光、生命力、よみがえりのイメージで紹介される。

金運や成功、精神力を支える石という語られ方も多い。

「古代インドの伝承で、繰り返してしまう縁を断ち切る石とされてきた」という紹介もあるけれど、これがインドの伝統に本当に由来する話なのかは確かめられなかった。

インドとこの石は、地理的にもあまり近くない。

そして、この石には他に無いねじれがある。言い伝えは無いのに、使われていた記録はある。

ツタンカーメンの胸飾りに彫られたスカラベが、この石。

意味を語る言葉は残らなかったけれど、選んで、彫って、王の宝にした人がいたことは残っている。

言葉より先に、いいなと思った気持ちのほうが残ったんだ。

持ち方・使い方

  • いつ持つ?:大きなことに挑む日、気持ちを立て直したい日に
  • どこに置く/どう身につける?:ペンダントやブレスレットで身につけるほか、机の上に置いて、光にかざして眺める使い方も。
    ガラス質だから、落としたり硬い石とぶつけたりしないように
  • 使わないときは?:柔らかい布に包んで引き出しへ
  • どんなときに握る?:もうだめかもと思った日に。握って、この石が2900万年かけてここに来たことを思い出してみて

組み合わせ

言い伝え 古い言い伝えとして残っているものは見つからなかった。

うちゅうさんの組み方

  • 元気を取り戻したい日:サンストーンと合わせて。太陽の石を2つ、そろえて
  • 仕事で勝負をかける日:シトリンと合わせて。黄金色どうしで
  • やり直すと決めた日:水晶、ガーネットと3つで。まっさらにして、続ける力を添えて

由来

生まれたのは、約2900万年前。今のエジプト西部の砂漠で起きた天体の出来事で、砂が高い熱で溶けて、急に冷えて固まった。だから中身はほとんど二酸化ケイ素——砂そのもの。

何が起きたのかは、長いあいだ議論されてきた。隕石が地面に落ちたのか、それとも大気の中で爆発した(エアバースト)のか。

2013年にロシア上空で爆発したチェリャビンスク隕石をきっかけに、爆発説にも注目が集まった。流れが動いたのは2019年。

オーストラリアとオーストリアの研究チームが、この石に含まれるジルコンの粒からレイダイトという、隕石が衝突したときにしかできない高圧の鉱物の痕跡を見つけた。

衝突説がぐっと有力になった。ただ、その衝突でできたはずのクレーターは、まだ見つかっていない。

だからまだ決着はついていない。

近代にこの石が"見つかった"のは、1932年12月29日。

イギリスの調査家パトリック・クレイトンが、測量のために大砂海の砂丘を横断していて、地面いっぱいに黄色いガラスの破片が散らばっているのに出くわした。

翌1933年11月9日、クレイトンとL.J.スペンサーが「リビア砂漠のシリカガラス」という発表を行っている。

でも、この石を最初に見つけた人は、もっとずっと前にいる。

1922年、ハワード・カーターがツタンカーメンの墓を開けた。その副葬品の中に、聖なる甲虫スカラベを彫った胸飾りがあった。

このスカラベは長いあいだ、黄色いカルセドニー(玉髄)を彫ったものだと思われていた。

ところが1990年代の終わりごろ、イタリアの鉱物学者ヴィンチェンツォ・デ・ミケーレが調べて、その正体がリビアングラスだと突き止めた。

古代エジプトの装飾品でこの石が使われたと確認されている、唯一の例とされる。

つまり、1932年に近代の科学が「新しい石を見つけた」と言ったその石は、3000年以上前のエジプトで、王の胸元に彫られていた。

どうやって手に入れたのかは分かっていない。それでも、名前も記録も残っていない誰かが、この石を先に見つけていたんだ。

うちゅうさんのひとこと

2900万年かけて、この石は君のところまで来たんだよ。急がなくていい。届くものは、ちゃんと届くからね。


図鑑データ

ここから先は、鉱物としてのこの石のこと。ロマンの根っこが気になる人はどうぞ🪐

項目 内容
和名 リビア砂漠ガラス。ただし日本では「リビアングラス」の呼び名がそのまま定着していて、和名を見かける機会は少ない
英名 Libyan Desert Glass(略してLDG)。「リビアン・ゴールド・テクタイト」という流通名で呼ばれることもある
鉱物グループ 鉱物ではなく、天体イベントでできた天然のガラス。二酸化ケイ素(SiO₂)が約96.5〜99%という、ガラスとしてはとても高い純度で、鉄やアルミニウムをそれなりに含むモルダバイトなどのテクタイトとは組成からして違う。テクタイトに入れるかどうかは学者のあいだで議論が続いている(下の注記へ)
モース硬度 5〜6という表記が日本の販売サイトで多い。海外では5〜5.5という紹介もあって、鑑別機関レベルの確定値には行き着かなかった。比重は2.10〜2.31と紹介されている
色・見た目の特徴 薄い黄色〜黄金色〜琥珀色の、半透明から透明のガラス質。長い年月の風化で表面がなめらかになっているものが多い。内側にクリストバライトという白い小さな粒や、気泡、流れるような筋が見えることがある
主な産地 エジプト西部の大砂海(グレート・サンド・シー)。リビアとエジプトの国境にまたがる砂漠地帯で、地球上でここ以外からは見つかっていない
誕生石(何月) —。公式の誕生石リストに、リビアングラスの記載は見当たらなかった

呼び名の注記 この石は「テクタイトの仲間」として紹介されることが多いけれど、そこに2つ、整理がいる。

まず、テクタイトかどうかは決着していない。テクタイトは隕石の衝突でできた天然ガラスの総称。

リビアングラスは、クレーターが見つかっていないことと、典型的なテクタイトに見られる特徴が乏しいことから、厳密な意味での"真のテクタイト"には入れないという立場を取る学者が多い。

いっぽうで「テクタイトの一種だけれど、他に類を見ない変わり種」として扱う説明もあって、市場ではテクタイトの仲間として並べられるのが普通。

この図鑑では「天体イベントに由来する天然ガラスで、分類はまだ議論中」という距離感で扱うね。

次に、モルダバイトとは別の出来事から生まれた石。

緑色のモルダバイトは約1450万〜1500万年前、ドイツ南部にリース・クレーターを作った隕石衝突で飛び散った物質からできたとされる。

リビアングラスは約2900万年前のエジプト。場所も時代もまったく別の出来事。

見た目も、モルダバイトは深い緑で不透明感があり、リビアングラスは澄んだ黄金色。

同じ「空から来た石」として並べられているだけで、生まれた出来事は別々なんだ。

もうひとつ、市場の事情。

エジプト政府がこの石を文化資源として保護していて、新しく掘ることも持ち出すことも規制されているとされる(制度の詳しいところまでは確認できなかった)。

そのため今出回っているものの多くは、規制より前に集められたコレクションだと紹介されている。

加えて、ガラスは人の手でも作れるので、人工ガラスやウランガラスが同じ名前で売られているという注意が、日本語でも英語でも一致して出ている。

ここで書いているのは、名前がどの石を指すか、市場に何が並んでいるかの整理まで。目の前の石が本物かどうかの見分けには踏み込まない。

取り扱いの注意(鉱物としての物理的な事実)

  • モース硬度は5〜6程度とされ、水晶(7)よりやわらかい部類
  • ガラス質なので、落としたりぶつけたりすると欠けたり割れたりしやすいと考えられる(リビアングラス固有の資料までは行き着かなかった)
  • 水・直射日光・超音波洗浄への強さについて、はっきり書いた資料は見つからなかった
  • 洗うなら、柔らかい布で乾拭きを

出典


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図版は博物画風のAI生成イラストです。

最終更新 2026-08-30