NO. 22 / うちゅうさんの石図鑑
スギライト

(図鑑イラスト:博物画風・AI生成)
石の物語
ひとこと
世界で通じるこの石の名前、日本人の名字がそのまま入ってるんだって🪐
石言葉
石言葉は「愛の浄化」「守護の光」「直観強化」「才能開花」とされる。
石のちから
- 守り:外からのネガティブなものから持ち主を守る石として、日本でも英語圏でも共通して語られている
- 直感:第六感を研ぎ澄ます石。とくに濃い紫のものが、そう紹介されることが多い
- 才能を開く:石言葉そのものが「才能開花」。眠っている力を引き出す石として語られる
- 心の浄化:受け取りすぎたものを流す石として紹介される
こんな人に
- 人の気持ちを受け取りすぎて疲れる人 → 外からのものから持ち主を守る石として語られてきた
- 自分の直感を信じたい人 → 第六感を研ぎ澄ます石として紹介される
- 眠っている力を起こしたい人 → 石言葉は「才能開花」。持っているものを開く石
- 日本ゆかりの石がほしい人 → 愛媛の島で見つかり、日本人研究者の名前がついた、世界で通じる鉱物名
今、伝わっている意味
1976年に認められた新しい鉱物だから、古代からの言い伝えは存在しない。今語られている意味は、すべて20世紀後半以降に紡がれたもの。
日本では、ラリマー・チャロアイトと並べて「世界三大ヒーリングストーン」と呼ばれることが多い(この呼び名がどこから来たかはラリマーのページにまとめてあるよ)。
意味としてよく語られるのは、まず「守りの石」。
外からのネガティブなものから身を守る石として、英語圏のクリスタルヒーリングの文脈でも共通して紹介されている。
人のエネルギーの中で仕事をする人を守る石、という言われ方をすることも。
次に「直感の石」。第六感を研ぎ澄ます石として紹介され、とくに濃い紫のものは眉間の第三の目を開く石として語られる。
「浄化がいらない石」という珍しい言われ方もある。ヒーリングの力が強いから、自分で自分を浄化してしまうのだと。
持ち方・使い方
- いつ持つ?:人と長く向き合う日、たくさんの人の中で過ごす日に
- どこに置く/どう身につける?:ペンダントやブレスレットで身につける使い方が多い。水に弱いから、手を洗うときや水仕事のときは外してあげて
- 使わないときは?:柔らかい布に包んで、日の当たらない引き出しへ。硬い石と分けてしまうと安心
- どんなときに握る?:人の話を聞きすぎて、自分がどこかへ行ってしまった日に。握って、自分の側に戻ってきて
組み合わせ
言い伝え 古い言い伝えとして残っているものは無い(新しい石だから)。
日本ではラリマー・チャロアイトとセットで語られることが多いけれど、これは組み合わせの言い伝えというより市場での括られ方。
うちゅうさんの組み方
- 人の中で過ごす日:オニキスと合わせて。守りの石を2つ、重ねて
- 自分の言葉で話したい日:ラピスラズリと合わせて。直感の石に、言葉の石を
- 環境が変わる日:チャロアイト、ラリマーと3つで。日本でひとまとめに呼ばれてきた3石を、そろえて
浄化・チャージの言い伝え
月光浴、水晶クラスターの上に置く方法、ホワイトセージの煙にくぐらせる方法が紹介されている。流水や水に浸ける方法は避けて。
この石は水に弱いから、乾いた方法を選んであげてね。
由来
この石には神話が無い。かわりに、年も人の名前も論文も全部たどれる、本当にあった話がある。
1944年、瀬戸内海の岩城島(愛媛県越智郡)で、九州大学の岩石学者杉健一と久綱正典が、閃長岩の中に見慣れない鉱物を見つけた。
結晶は数ミリ。色は紫ではなく、淡い黄褐色。
正体が分からないまま、一時「イワキライト」と呼ばれたこともあった。
そこから、32年かかる。杉健一は1948年に亡くなっていて、自分の見つけたものが何だったのかを知らないまま逝った。
1976年、地質学者の村上允英、加藤昭、三浦保範、廣渡文利らが成分と構造を分析して、新しい珪酸塩鉱物として学術誌に発表した。
論文の題は "Sugilite, a new silicate mineral from Iwagi Islet, Southwest Japan"。
命名したのは村上允英。第一発見者であり、自分の師でもあった杉健一への敬意を込めて、その名字を石につけた。
物語には続きがある。
南アフリカ・カラハリ砂漠のウェッセルズ鉱山で、マンガンを掘っている最中に、濃い紫の鉱石が見つかった(年は1975年、1979年、1980年と資料によって割れている)。
分析してみたら、愛媛の島で見つかった、あの地味な黄褐色の鉱物と同じものだった。紫はマンガンによる色。
だから今、世界の宝石市場に並ぶ紫のスギライトは、ほとんどが南アフリカ産。名前は日本発、実物はアフリカ発、という不思議なねじれ方をしている石なんだ。
うちゅうさんのひとこと
この石が名前をもらうまでに32年かかった。見つけた人は、それを見られなかった。だから君も、今日のがんばりの答え合わせを急がなくていいんだよ。
図鑑データ
ここから先は、鉱物としてのこの石のこと。ロマンの根っこが気になる人はどうぞ🪐
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 和名 | 杉石(すぎいし)。ただし実際にはカタカナの「スギライト」のほうが一般名として定着していて、和名を見かける機会は少ない |
| 英名 | Sugilite。発見者である日本人研究者・杉健一(すぎ・けんいち)への献名 |
| 鉱物グループ | 環状ケイ酸塩鉱物(シクロシリケート)。化学式は KNa₂(Fe,Mn,Al)₂Li₃Si₁₂O₃₀。ミラライトグループに分類されるという記述もあるけれど、一次資料での確証までは取れなかった |
| モース硬度 | 5.5〜6.5(日本語のパワーストーン系サイトの一般的な表記)。英語版Wikipediaは6〜6.5とやや高めに書いていて、資料によって幅がある。水晶(7)よりはやわらかい |
| 色・見た目の特徴 | 最初に日本で見つかった結晶は、紫ではなく淡い黄褐色。今みんなが知っている濃い紫〜すみれ色は、南アフリカ産に含まれるマンガンによる発色で「マンガノ・スギライト」と呼ばれる。ほかに赤紫、淡いピンク、無色も。半透明〜不透明。色が濃く鮮やかで、透明感のあるものは「ゲル質(ジェリー質)」と呼ばれて、いちばん高く評価される |
| 主な産地 | 発見地は日本・愛媛県の岩城島(いわぎじま)。ただし日本産は数ミリ程度の標本にとどまり、宝石には使われない。宝石として世界に流通している紫のスギライトは、ほぼすべて南アフリカ産(カラハリマンガン鉱床のウェッセルズ鉱山と、近くのンチュワニング鉱山)。ほかにカナダ、イタリア、オーストラリア、インドでも小規模に産出 |
| 誕生石(何月) | —。公式の誕生石リスト(GIA・全国宝石卸商協同組合)には含まれない。一部の通販サイトが「6月の誕生石」「1月18日の誕生日石」として独自に紹介している例はある |
呼び名の注記 この石の呼び名のズレは、定義ではなく発音にある。
日本語では「スギライト」と読む。名前のもとが日本人研究者の「杉」だから、当然そうなる。
ところが英語圏では、"sugilite" の g を、gooseのような濁らない音ではなく、gingerのような柔らかい j の音で読む人が多い——「スージャライト」のように。
英語版Wikipediaが自分で「本来は名前の由来になった人の発音に合わせるべきで、この場合は日本語の Sugi の硬い g」と注記している。
日本人への敬意でつけられた名前が、世界ではその日本語の音とは違う読み方で広まってしまった、という小さな行き違い。
品質の呼び名もある。色が濃く鮮やかで、透明感のある「ゲル質(ジェリー質)」と呼ばれるものほど高く評価される。
中でもとくに上質なものには「インペリアル・スギライト」という別格の呼び名がつく。
反対に、色が薄いもの、内包物や母岩の混ざりが多いものは評価が下がる。
もうひとつ、市場の事情。人気と希少さのギャップから、模造品の種類が多い石でもある。
本物を加工したときに出た削り屑を着色樹脂で固めた「練り物」、紫のレピドライト(雲母の一種)との取り違え、樹脂やガラスで作られたもの、色の薄いものに塗料を塗って濃く見せたもの。
ここで書いているのは、名前と品質の呼び名、市場の事情の整理まで。目の前の石が本物かどうかの見分けには踏み込まない。
取り扱いの注意(鉱物としての物理的な事実)
- 水に弱い。流水での浄化や、長く濡らすことは、変色・ひび割れ・質感の劣化につながることがあると複数の資料が注意している
- 直射日光で色が褪せることがあるとされる。長く日に当てない
- 超音波洗浄機については、はっきり書いた資料に行き着かなかった。水に弱い石なので、避けておくほうが安全
- モース硬度5.5〜6.5とやわらかめ。水晶のような硬い石とぶつけないように
出典
- Sugilite|Wikipedia(英語版) … 化学式・硬度・色の幅・日本産が宝石に向かないこと・発音の注記
- 杉石|Wikipedia(日本語版) … 和名
- Sugilite, a new silicate mineral from Iwagi Islet, Southwest Japan|J-STAGE … 1976年の新鉱物記載論文
- Understanding Sugilite|Gem-A … 1944年の発見・1976年の命名
- 日本発見の希少鉱物・スギライトとは?|TOP STONE … 発見の経緯・杉健一と村上允英・南アフリカでの紫の発見
- Sugilite from Iwagi Island|Mindat … 発見地
- Sugilite: Mineral information, data and localities|Mindat … 鉱物データ
- 世界三大ヒーリングストーンとは?|マルラニハワイ … 3石の括り
- 世界三大ヒーリングストーンの秘密|gemwordpower … 同上
- Sugilite Meaning and Properties|Fire Mountain Gems … 英語圏での語られ方
- 【本当は怖い】スギライトとは?宝石言葉・誕生石・スピリチュアル効果も解説|lani … 誕生石として紹介される例
- スギライトの偽物に注意!本物の見分け方は?|パワーストーン辞典 … 模造品の種類
- Connoisseur's Choice: Sugilite, Wessels Mine|ResearchGate … 透明感の高いものを「ゲル・スギライト」と呼ぶこと
- スギライトの値段の違いを左右する要因と購入前に知っておきたいこと|GEMSTONE369 … 品質の呼び名(ゲル質・インペリアル)
- スギライトの扱い方は?気を付けることまとめ|パスクル … 水・日光への弱さ
- スギライトの意味・効果・浄化方法|開運なび … 現代の意味・浄化の言い伝え