和田玉(ホータンぎょく)

和田玉の図鑑イラスト

(図鑑イラスト:博物画風・AI生成)

石の物語

ひとこと

昔の中国では、この石が「立派な人」のお手本だったんだって🪐

石言葉

石言葉は「徳」「守護」「安心感」とされる。

石のちから

  • 健康長寿:健やかさを支えるお守り。今も健康と長寿を願って持つ人が多い石
  • 魔除け・守護:外からの悪い影響から持ち主を守り、安心感をくれる石として語られてきた。中国の玉文化では、身につけると邪気を払うという言い伝えが古くからある
  • 人格・徳:内面の品格を育てる石。「君子は玉に徳をなぞらえる」の思想とそのまま重なるところ
  • 家族の絆:親から子へ、お守りとして受け継がれてきた石。家に置いて、家族の健康と幸せを願う使い方も昔からある

こんな人に

  • 人に合わせてばかりで、自分の芯がぼやけてきた人 → 内面の品格を育てる石。「君子は玉に徳をなぞらえる」の思想がそのまま重なるところ
  • 外からのイヤな空気に疲れている人 → 悪い影響から持ち主を守って、安心感をくれる石
  • 家族の健康を願いたい人 → 家に置いて、家族の健康と幸せを願う。そんなふうに使われてきた石
  • 長く使えるお守りがほしい人 → 硬度こそ控えめだけど、繊維が緻密に絡み合った構造で靭性(割れにくさ)がとても高い石。親から子へ受け継がれてきたのも納得だね

今、伝わっている意味

現代の中華圏や日本のパワーストーン文化で、和田玉(ネフライト)はまず魔除け・厄除けのお守りとして語られる。

身につけると悪い気を払う、健やかさを支える、親から子へ受け継いで家族の幸せを願う——この3つが繰り返し紹介される。

孔子の時代の「人の生き方のお手本」から、今の「守ってくれるお守り」へ。

役割の言い方は変わったけれど、どちらも「そばに置いて、自分を保つための石」というところは同じなんだ。

持ち方・使い方

  • いつ持つ?:気を張る場所へ出かける日、長く続けたいことを始める日に
  • どこに置く/どう身につける?:昔の中国では、腰帯から下げる「佩玉(はいぎょく)」の形で身につけた。
    今ならブレスレットやペンダントで肌の近くに。家族のための石にするなら、玄関やリビングに置く使い方も
  • 使わないときは?:柔らかい布に包んで箱へ。直射日光の当たらない場所に置いてあげて
  • どんなときに握る?:言いたいことを飲み込んだ日に。握って、自分の側に戻ってくる時間をつくってみて

組み合わせ

言い伝え 特定の石と組み合わせる言い伝えは伝わっていない。

古代中国の玉文化では、玉を「佩玉」として腰帯から下げ、玉どうしを連ねて身につける様式があった。

『礼記・玉藻』には「君子は故なく、玉を身から離さない」とある。

これは玉と玉を連ねる話で、違う種類の石と組み合わせて力を高めるという考え方の記録は見当たらなかった。

うちゅうさんの組み方

  • 人に流されたくない日:水晶と合わせて。芯を立てる石に、まっさらな1粒を添える
  • 家族のお守りにしたい日:ローズクォーツと合わせて。守りの石に、あたたかさを足す組み方
  • 気を張る場所へ行く日:オニキス、水晶と3つで。守りを厚くして出かけて

由来

石なのに「徳」。この言葉がついた理由は、中国の古い書物にある。

『礼記(らいき)・聘義(へいぎ)』に、弟子の子貢が孔子にこう尋ねる話が残っている。

「どうして君子は玉を貴んで、ただの石を軽んじるのですか」。孔子はこう答えた。

「君子は、玉に徳をなぞらえるのだ」。

そう言って孔子は、玉の性質を人の美徳に重ねていった。中国で玉が大事にされてきたのは、きれいな飾りだからというより、人の生き方のお手本だったから。

その玉の中でも代表格が和田玉。

2003年10月、業界団体の中国宝石玉石協会(現・中国珠宝玉石首飾行業協会)が数年がかりの選定を経て、新疆ホータン産の和田玉を「中国国石」に選んだ。

これは政府が法律で定めた指定ではなく、あくまで業界団体による選定。中国国内には寿山石を推す声もある。

特に高く評価されているのが「羊脂玉(ようしぎょく)」。

羊の脂のような、粘りけのある白さが名前の由来で、きめ細かくて潤って見えるのが特徴。

ただし「羊脂玉」に統一された等級の基準はなく、業者によって基準の幅がある言葉。

近年は採れる量が減っていて、別の産地の玉を「羊脂玉」として売る例もある。

豆知識:北京オリンピックのメダルの話

2008年の北京オリンピックのメダルには、玉がはめ込まれていた。

この玉を「和田玉」と紹介されることがあるけれど、実際に使われたのは「崑崙玉(こんろんぎょく)」。

しかも産地も違って、青海省ゴルムド(格爾木)付近の崑崙山脈で採れた玉だ。

新疆ホータン産の和田玉とは、別の場所の玉が使われた、というのが正確なところ。

うちゅうさんのひとこと

徳を積むって、がんばって立派になることだと思ってない? 玉がお手本になったのは、静かにそこにあって、ちゃんと光ってたからだよ。


図鑑データ

ここから先は、鉱物としてのこの石のこと。ロマンの根っこが気になる人はどうぞ🪐

項目 内容
和名 和田玉(わだぎょく/ホータンぎょく)
英名 Hetian Jade(Hotan Jade)/鉱物名は Nephrite(ネフライト)
鉱物グループ 軟玉(ネフライト)=透閃石(トレモライト)〜緑閃石(アクチノライト)系の角閃石が緻密に絡み合った集合体。硬玉(翡翠・ジェダイト)とは化学組成の異なる別の鉱物。日本語では硬玉・軟玉どちらも「翡翠」と呼ばれることがあり混同されやすいが、和田玉は軟玉(ネフライト)である
モース硬度 6.0〜6.5程度(情報源によっては6.25と記載するものもある)
色・見た目の特徴 白玉(羊脂玉=乳白色で特に高く評価される)・青玉・黄玉・墨玉・碧玉・糖玉など色の等級が細かく分かれる文化がある。ただし「羊脂玉」に統一された公式の等級基準はなく、業者によって基準の幅がある呼び名。油脂を帯びたような独特のツヤ(脂感)が特徴
主な産地 中国新疆ウイグル自治区ホータン(和田)地区。白玉河(ユルンカシュ川)・黒玉河(カラカシュ川)流域が代表的な産地とされる
誕生石(何月) 該当なし。注意:5月の誕生石「翡翠(ヒスイ)」と混同されやすいが別物。日本の宝石業界が定める5月の誕生石「翡翠」は主にミャンマー産の硬玉(ジェダイト)を指すことが多く、和田玉(軟玉・ネフライト)そのものが誕生石として案内されている例は見当たらなかった

呼び名の注記 「和田玉」という言葉には二通りの使われ方がある。

伝統的には、新疆ホータン(和田)で採れたネフライトを指す地名由来の呼び名。

いっぽう現代中国の国家標準(GB/T 16552・GB/T 38821-2020)では、産地を問わず透閃石(ネフライト)を主成分とする玉石全般を「和田玉」と呼んでよいことになっていて、青海・遼寧産やロシア・カナダ・韓国産のネフライトも「和田玉」として流通する。

上の図鑑データは、新疆ホータン産の和田玉についてのもの。

取り扱いの注意(鉱物としての物理的な事実)

  • モース硬度自体は6.0〜6.5とそれほど高くないが、繊維が緻密に絡み合った結晶構造のため靭性(割れにくさ)が非常に高いとされ、硬玉(翡翠)より靭性で勝るという紹介もある
  • 汚れが気になる場合は水に浸けて柔らかい布やブラシで軽くこする程度が目安とされ、洗剤を使う場合は中性洗剤を少量。
    強酸・強塩基の洗剤は石を傷める可能性があるため避けたほうがよいとされる
  • 長時間の水浸けは避けたほうがよいとされる
  • 直射日光の当たる場所での長時間保管は退色の可能性があるとされる
  • 超音波洗浄機について、GIA(米国宝石学会)は「未処理の翡翠には基本的に使用できる」としつつ、「染色・含浸などの処理が施されているかどうか分からないことが多いため、中性洗剤とぬるま湯での洗浄が常に安全な選択」と案内している。
    「◯分以内なら可」といった具体的な時間の基準は信頼できる情報源では確認できなかったため、家庭では超音波洗浄機を使わず、ぬるま湯+中性洗剤の手洗いを基本にするのが無難

出典


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  • 石図鑑の目次 … 前書き・気持ちから探す索引・全ページ一覧
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図版は博物画風のAI生成イラストです。

最終更新 2026-08-30